既存雑木林の樹間を縫うRC店舗+賃貸住宅

馬坂プロジェクト

ongoing project

森の一部が建築となる。森の隙間に建築を植え込むような感覚で建築を作りたいと考えている。
多くの都市ではみどりを削って建築が作られてきた歴史があり、建築とみどりの関係は明らかに建築が主でみどりが従だとする価値観が横行している。環境志向の現代であってもその志向は変わらずあってなんとか建築にみどりを纏わせることでその代償を演出しているように見えなくもない。
建築は時間と共にその場所に馴染み、時にみどりなどの周辺環境と混ざり合い、建築単体で始まったものがいつしか街の景観の一部として存在するようになる。それは言い換えれば建築の希薄化とかインフラ化とか勝手ながら考えていて、良好な街並みや環境を周囲に与えているように感じる。

本計画は溝の口のほぼ駅前の好立地でありながら大きなみどりが残され、代々大切に継承されてきた土地が敷地である。我々は20m級の大木が幾つも残るこの敷地の価値を目減りさせることなく、オーナーの望む経済性を担保しつつ建築を成立させることを思案し続けている。
それは前述のようにかつてからその場所にあったかのような感覚の建築であり、周辺環境に溶け込んだニュートラルな希薄化した建築である。その建築の最も大事な機能は既存の森の価値を再構築するものであり、樹木すらもその建築に寄り添うことで生きる間を形成する。

竣工2025年予定
所在地神奈川県川崎市
用途店舗・賃貸住宅
施工者栄港建設
構造RC造
規模2階建て