



20年ほど前にあったリゾート計画のための仮囲い鉄板がこの樹木帯を塞いでいた。開放された樹木はこれから旺盛に育っていくであろう。


柔らかいカーテンを引くことで、屋外の環境と穏やかに距離をとりながら、光や風の気配を室内に取り込む。

プールに接する開口部を開放すると室内でありながらプールサイドのようなアウトドア感をインテリアに引き込める設計。

オーナー企業の会議体にも対応する大型のダイニングテーブルと重心を下げるソファーの設定。














岩礁の景観と融和し、地域と共にある建築
千葉県いすみ市。東京オリンピックのサーフィン競技の会場に隣接する太東ビーチに面する高台にこの建築は建つ。
太東岬はその海蝕によって砂を生み出し美しい九十九里浜の海岸線を形成してきた歴史がある。現在九十九里浜には諸々の事由により砂の供給が減り海岸線の担保にさまざまな施策が講じられていることを知った。
一つの建築にその問題を解消する力はないが、せめてこの希少な景観との融和をテーマに、削られた岩礁が特徴的な太東海岸の景観と一体となった建築が作れないものかと思案した。
崖要件や構造耐力また塩害も鑑みた上で350mm 角のスレンダーなRC 構造フレームを基調に所要の空間を確保。優美に湾曲する九十九里の海岸線に呼応する平面形状を敷地なりに展開し、北に望む海と敷地内の南庭をつなげるべく外部空間の貫入(プール)や南北貫通を意識したプランニングがなされている。
ローカルサーファーという言葉がある。地元の波を共有するための仁義的意味合いもあるが、自分達のエリア(地域)を大切にするというポジティブな意識に寄り添うように、周囲の環境の良化に貢献する建築に成長していくことを願って設計に力を込めた。
竣工 | 2024年9月 |
所在地 | 千葉県 |
用途 | ホテル |
構造 | 鉄筋コンクリート造 |
敷地面積 | 2540.57㎡ |
建築面積 | 560.12㎡ |
延床面積 | 794.99㎡ |
意匠設計・監理 | 古谷デザイン建築設計事務所/古谷俊一 秋真人 中川広海 |
構造設計 | KAP/萩生田秀之 関本拓郎 |
設備設計 | ZO設計室/ 柿沼整三 伊藤教子 黒木靖子 |
ライティングデザイン | NEW LIGHT POTTERY/永冨裕幸 奈良千寿 |
家具・植栽コーディネート | 古谷デザイン建築設計事務所/古谷俊一 宮脇久恵 |
施工(建築) | 笹原工務店 /宮崎伸一 鈴木昭弘 後藤匡仁 |
設備工事 | 高和設備/山田賢 |
電気工事 | ツカサ電業/三熊康太 |
家具工事 | 松本家具製作所/松本勝一 西谷大介 |
家具工事 | HAY hutte design/安井秀行 |
植栽工事 | 大綱ガーデン/ 酒井栄一 |
撮影 | 中山保寛 |
