







[過去提案B提出時コンセプト文]
スイシャハウスの敷地から川を挟んで対面の敷地。一体に広がるクライアントの所有地の一角にはイタリアンレストランがあり、丹精に野菜を育てている畑がある。周囲は趣味のバラが咲き誇り、その後ろにはかねてから運営している賃貸住宅がある。
敷地は生産緑地解除を行い、その畑の半分を使用する。スイシャハウスやシミズヤマハウスの文脈を意識しながらも、この敷地環境を読み解き、周囲の道路や空の抜け方、風の流れ、気の流れ(これは勘であるが)を身体的に理解し、畑の土の色を眺めながら合いそうな建築の立ち姿を想像する。
当初、インナーガレージニーズに着目し、ガレージハウス型賃貸を4戸企画した。畑を見下ろさず、周囲の樹木やバラを伐採せずに有効な容積を確保する案を作成した。畑に植るキャベツの姿をイメージしてcabage house 案とした。
そうこうするうちに戸建ても建てたいという話が上がり、開発要件から同時建築が不可能なため、合体案の模索がはじまった。ガレージや公私の閾、畑との関係を吟味した結果、1階スペースを成立させるのはコンクリートの高基礎とし、その表情は可能な限り畑土に近い表現をめざすこととした。その少し固そうな土の筵の上に木造の建屋が載っかる形である。建屋は2階の機能に応じて小屋が架かり、なんとなしにスイシャハウスのリズムに寄せる格好になっている。
3作(スイシャハウス・スイシャソーコ・ファームハウス)ともに時代が変わり所有者も変わるかも知れず、周辺環境と調和して馴染み愛され長く景色をつくっていく建築でありたいと願っている。
竣工 | 2026年予定 |
所在地 | 神奈川県高津区 |
用途 | 長屋 |
構造 | RC造 |