大地が隆起したような建築

たがやすいえ

House to Cultivate

建築を遠望する。切り崩され露出した岩盤の風合いに馴染む外観を求めた
俯瞰写真。建築とともに将来尾根が復元される
南側より見る。風の抜ける尾根に同調する守られた住処
鋸山の石切場の文脈を踏襲した北側開口部の表現
エントランスよりリビングを見通す
リビングの開口より山と海を見る。穏やかな海を海運線が横切る
建築のボリュームのずれがそのまま開口となる
配置図
平面図
断面図

千葉県富津市。 南に鋸山 (ラピュタの壁)、 西に富士山、 西南に伊豆大島、 北に東京湾を望む四方に開けた山頂の景観である。
敷地は過去の宅地分譲のため尾根が削り取られ樹木が切り倒された歴史があった。 数年経った現在、 切り株からの樹木の更新が始まりアカギリやアザミが繁茂し尾根の植生が復元されつつあった。 我々はその手助けになる計画をしたいと考え、いくつかの平坦地がある中で正面にぽっかりと口を開ける海原と、西日に生えるラピュタの壁を同じ視野角に収めるポイントを探り、 崖の安息角に留意しながら建つべき建築の位置を設定した。 その建築は削り取られた尾根を復元するかのようにどっしりと裾を拡げたように建ち、 周囲の植物とともに新たな尾根を形成していくだろう。

東京と富津。 二地域居住をする安息のリビングには東京湾に入港する大型船がゆっくりと行き交う。 大地の色味と親和性を持たせたコンクリートの量塊は太陽の傾きにより刻々と表情を変える。 その質感や表情はそのままインテリアへ貫入し吟味されたアンティーク家具とともに安寧の時間を生成する。

所在地千葉県富津市
竣工2022.09
施工者笹原工務店
構造RC造
敷地面積18,775㎡
建築面積195.35㎡
延床面積180.27㎡