4世代家族のための長屋

練馬4世代住居

Four-generation row houses in Nerima

四世代のスペースが織り重なり、みどりが各世帯をつなげる。(手前:親世帯、1階奥:おばあちゃんち、階段先:共同の仕事場、2階:子・孫世帯)
アプローチや2階バルコニーには目隠しを兼ねた植栽を設計
ピロティより位置指定道路を介して町側を望む
親世帯、おばあちゃんちの共同玄関。ステップとなる縁側はテーブルを出して会食をすることも
1階おばあちゃんち。外部階段を孫、ひ孫が行き来する風景を眺めながら過ごす
1階親世帯。ダウンリビング、植栽によって位置指定道路と距離をとる
2階キッチンを見る
2階子・孫世帯のリビングに吹き抜けボリュームが貫通する。
ファサード開口の光は一部吹き抜けを介して室内に取り込まれる
玄関より吹抜けを見上げる
夕景

宮﨑県でまちづくり事業を行うご主人と東京で子育てのNPO法人を運営する奥様(親世帯)。文京区の生家で中国史の研究を行っていたというおじいちゃんと長く生活を営んできたご主人のお母様(おばあちゃん)。映像系の仕事をするご主人の息子さんと韓国出身で東京の広告代理店にお勤めの奥様と3歳の元気な息子さん(子・孫世帯)。それぞれ宮崎県、文京区、練馬区とバラバラに住んでいた一家が練馬区にまとまった敷地を購入し集まって暮らす決断をした。おばあちゃんからひ孫までの四世代住居である。
敷地は位置指定道路による戸建分譲地の奥2区画。プランを斜めに振り前庭、ピロティ、前面道路を一体の空地として捉え、街を見据える格好とした。また外階段を設け用途を長屋に設定。道路のどんつきにはそれぞれ多様な仕事を営む家族のためのシェアオフィスのような空間を設けた。四世代を貫く共同玄関の吹き抜けは個別感と共有感の狭間とすべく垣間見えたり、光を共有したりなど最後まで検討され、集まって住む意味の象徴のような空間になった。
核家族化という言葉は未だ存在し、遠くの親戚より近くの他人的なシェア文化も醸成されつつある。クライアントは 「これは挑戦だ」と言う。都農町で ”日本全体の市町村で 3割近い人口1万人以下の都市の未来”を考えているご主人の言葉である。個人主義の価値観に浸され、最小のコミュニティの心地よさを実感する都市居住の人々にとって、このような住宅で支え合い社会貢献につながる発信がより増強されていくのならこのありようは革命的なのかもしれない。

所在地東京都練馬区
竣工2023.06
施工栄港建設
設計協力81A-
用途長屋
構造木造 一部鉄骨造
規模地上2階
敷地188.65㎡
建築面積116.00㎡
延床面積214.99㎡