居住者とつくる新しい賃貸住宅の提案
「買うか借りるかの二論を超えて、新しい住まい供給のあり方を検索したい。ついては大森ロッチをもっと街に開き、地域に貢献する建物をつくりたい」
このオーナーの言楽をきっかけに集まった入居世帯2組とその意見に同調し、使命を果たしたいとする設計者が四者一体となって、敷地形状、道路付けの諸条件から1階にふたつの店舗を並べ、その上階に店舗オーナーの住まいを積むという構成が早い段階から決まり、いくつかのアイデア推織の場が持たれた。その内に、それぞれの理想の住まいをつくり上げること、すなわちメンバーの自己実現が地域に対する環境良化に繋がっていくことを工事中の近隣コミュニケーションや上棟式の餅まきイベント等を通して、ごくごく自然にづかされるに至った。
長年の夢であった定食屋をこの街並みの中で現させたいという「たぐい食堂」。1階は自分たちのリピングルームであり、家に遊びにくるような感覚で訪れてほしいという「yamamoto store」。職住の価値観の違うふたつの世帯が、2階のテラススペースで親やかに繋がる設計としている。燃え代設計により実現した木の露出柱で囲まれた空間は街の風景を取り込み、あたかもこれまでの路地空間が空中で繋がったかのような錯覚と小気味よい浮遊感を伴って店舗のテラススペースとしても機能することを意図している。それは言い換えれば、おのおのの生活と仕事の狭間を表現する一種の広告スペースとして機能することも期待している。
「夢を運ぶ」「足を運ぶ」「等を運ぶ」「ことを運ぶ」「神を運ぶ」。
選ぶ家のこれからのあり様が今後街に表現され、ハコブネのように入居者の夢を選び、そのライフスタイルが広告され本米あるべき幸せな賃貸住宅供給のかたちが増えていくことを最大の目標としている。
所在地 | 東京都大田区 |
用途 | 店舗付き長屋 |
竣工 | 2015.06 |
施工 | トラスト |
敷地面積 | 105.64㎡ |
建築面積 | 56.79㎡ |
延床面積 | 142.88㎡ |