山梨県の石和温泉で20年続く、バラの生産と販売を行っていた旧店舗。売り場にはバラが咲きこぼれ、建物や温室がみどりの陰に沈み、理想的なみどりと建物の関係を打ち出していた。今後のリニア開通を見越して開発が目覚ましいエリアへの移転が決まり、大きな更地と出会ったのが数年前。事業のための建築であるため、そのコストパフォーマンスを強く発揮すべく、主要構造を軽量鉄骨とし、シンプルな平面形状でより高い空間価値が得られるよう、トラス梁を用いたプレファブ工法を採用した。建物の外壁は将来的に全てバラやその他のグリーンで覆われる計画。そのために建物の外壁材と土との関係、その高低差、距離感、軒下空間の構成など、植物にとって心地良い建物との寄り添い方を最大限重視した。
「お店としてバラやグッズが売れることはもちろん必要。でも、それ以上にこれまで植物にあまり興味のなかった人たちが来店したことで植物に興味を持ち、自分たちの庭環境でグリーンのある生活を実践するきっかけづくりに協力したい」このオーナーの思いに応えるべく、3つのスペースのゾーニングが行われている。主に物販を目的としたショップスペース、ガーデニングレクチャーを行うスクーリングスペース、その2つの空間に挟まれる温室空間。それぞれのボリュームは仕上げを変化させ、幾つかの外壁と開口部、その前に広がる庭の関係性においてイメージしやすい環境をつくっている。
所在地 | 山梨県中巨摩郡 |
竣工 | 2014.08 |
施工 | 内藤ハウス |
敷地面積 | 1,779.10㎡ |
建築面積 | 228.69㎡ |
延床面積 | 228.69㎡ |
階数 | 地上1階 |
構造 | 鉄骨造 |